STOP!若者の消費者トラブル 〜東京都の発信するCMを作ろう!〜CMシナリオ・動画コンテスト

STOP!若者の消費者トラブル 〜東京都の発信するCMを作ろう!〜CMシナリオ・動画コンテスト

学びの部屋

LEARNING

 学びの部屋は、東京都消費生活総合センターが教員向けに発行している情報提供誌「わたしは消費者」や「東京くらしWEB」に掲載されている消費者トラブル事例から若者の内容を選び出し、年齢別に並べたものです。若者に当事者意識をもってもらうだけでなく、学校現場で先生方に活用してもらえる内容となっています。

中学生の事例

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「お試し無料」「初回限定〇〇円」は、定期購入の可能性が

事例

Aさんは、スマートフォンで、モデルお薦めの「ダイエット効果がある健康食品」を購入した。お試し1回が中学生でも気軽に購入できる価格だったので、1回だけのつもりで申し込んだ。2回目が届いた(2回目以降は数千円と高額になる)ので、慌てて事業者に連絡したところ、「定期購入である。規定回数を継続購入しないと解約出来ない。ホームページにも書いてある」と言われた。お試しのつもりで、親の同意を得ずに申し込んでおり、定期購入が条件とは気づかなかった。

  • 1
  • インターネットの通販広告では、モデルの写真やコメント、商品の特性、特価の部分ばかりが強調され、重要な購入条件等が目立たない場合があります。「お試しだから」「安いから」とすぐに申し込まず、購入条件や解約条件、返品ができるかどうか、できる場合の条件など、契約内容を必ず確認しましょう。
  • 2
  • 未成年者が、保護者の同意を得ずに、インターネット通販で健康食品を購入してしまったという相談が多くなっています。契約書等に「未成年者が本商品を購入した場合、保護者の同意を得ているとみなす」というような内容が書いてあっても、あきらめずに、消費生活センターに相談しましょう。
  • 3
  • 「回数に縛りなし」「初回のみで解約可能」と記載してある場合でも、解約料を求められるケースや、電話での解約しか認めないとしておきながら電話がなかなか繋がらないケースなど、解約が難しいといったケースが多数あります。

架空請求には、連絡せず、支払い請求にも絶対に応じない

事例

Bさんは、自分のスマートフォンに「有料動画サイトに未納料金が発生しています。本日中に連絡がない場合、法的措置に移行します」とのメッセージが送られてきた。

  • 1
  • 架空請求は無視しましょう。身に覚えのない利用料金について問い合わせの電話等をすると、執拗な請求を受けることになります。連絡はせず、支払い請求にも絶対に応じないでください。
  • 2
  • もし、架空請求でなく、実際にコンテンツ等を利用したことによる請求であった場合でも、未成年者契約として取り消しの主張ができる場合がありますので、事業者に連絡せず、親権者に相談しましょう。

「当選しました!」を安易に信じないでください

事例

Cさんが、スマートフォンで動画を見ていたら、「おめでとうございます」と表示された。画面をタップすると、「スマートフォンが当選したので、機器代として100円支払うように」と表示された。何かに応募した覚えはなかったが、100円ならと思い、住所、氏名、メールアドレス、電話番号を入力した。最後にクレジットカード情報を入力する画面になって初めて「映像サービス月額8900円が3日間お試し無料、不要な場合は連絡を」と書かれていることに気付いた。不審に思い、それ以上は入力せずに画面を閉じたが、心配だ。

  • 1
  • 「スマートフォンが当選した」という言葉を安易に信じないでください!

「当選」「プレゼント」という言葉を安易に信じて、誘導されたサイトに個人情報を入力するのは危険です。誘導されたサイトが大手サイトを装っている場合もあります。申込みボタンをクリックする前に、本当に大手サイトでスマートフォンが当たる等のキャンペーンを実施しているのかどうか、調べてみましょう。また、カウントダウン画面でユーザーを焦らせる手法には、慎重に対応しましょう。

  • 2
  • クレジットカード番号を入力してしまったら、クレジットカード会社に連絡を!

もしも不審なサイトにクレジットカード番号を入力してしまったら、すぐにクレジットカード会社に連絡し、請求の保留やカード番号の変更を依頼しましょう。また、相手方のウェブサイトやメールアドレスが判明しているなら、速やかにウェブサイト上の問い合わせフォームまたはメールで、解約を申し出ましょう。
情報を悪用され、全く別のサイトでクレジットカード決済が行われてしまう可能性もあります。クレジットカードの利用明細は、必ず確認するようにしましょう。少しでも不安や疑問を感じた場合は、消費生活センターにご相談ください!

 参考 

独立行政法人国民生活センター越境消費者センター「iPhone当選に見せかけた有料サイト登録・課金に関する相談」

高校生の事例

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タイムセール、残りわずか! インターネット通販のトラブル

事例

スマホで「タイムセール残りわずか」と書かれたスカートを見つけたAさん。気に入らなければクーリングオフすればいいと考え、すぐに注文します。ところが、届いた商品は、スマホの画面で見たものとはイメージが違っていました。返品したいとメールしますが、「返品出来ない。利用規約で決まっている」との返事がきました。

  • 1
  • 返品条件、送料などの購入条件を必ず確認しよう!

事例では、クーリング・オフできると思い込み、返品条件などを確認せずに注文をしたため、トラブルに巻き込まれます。インターネットに限らず、通信販売にはクーリング・オフ制度はありません。「返品不可」と表示されていれば、商品のイメージが違っていても返品できないのです。通信販売は、広告面に返品の可否・条件などを表示することが義務付けられています。注文する前に、返品条件などの購入条件を必ず確認することが大切です。

  • 2
  • 販売業者の情報を必ず確認しよう!

通信販売は、事業者名や住所、電話番号などの項目を必ず表示することが法律で定められていますが、事例では、電話番号の記載がありません。法律を守っていない事業者は、安心して取引できる事業者とは言えません。

契約は慎重にすることが重要

ネット通販は、相手事業者がどのような事業者なのか知らず、商品の現物を見ないで、広告の表示だけを頼りに契約する取引です。写真やキャッチコピーに惑わされてはいけません。注文する際には、必ず購入条件をよく読み、商品の代金、送料、支払い方法など、確認しましょう。なお、注文時に商品や契約内容画面の写真を撮っておくと、後でトラブルになったときに役立ちます。

初回限定○○円は、定期購入の可能性が

事例

Bさんは、スマートフォンで無料の動画サイトを見ていたら「初回完全無料」と書かれた健康食品の広告が表示されたので、興味を持ちサイトを閲覧した。申し込んだつもりはなかったが、数日後に代金0円の伝票が入った1回目の商品が送られてきた。慌ててサイトを調べると、定期購入だが回数に縛りがないということだったので、商品の返品と解約を申し込んだところ、「初回で解約するなら、解約料がかかる」と言われた。

  • 1
  • 「お試し」「初回限定」「モニター」などと未成年者がお小遣いで気軽に購入できる金額で広告し、高額な定期購入の契約をさせるトラブルが増加しています。無料や格安の金額だからとすぐに購入ボタンを押すのではなく、必ず定期購入になっていないか確認しましょう。
  • 2
  • インターネット通販には、クーリングオフがありません。契約内容(購入条件)は事前にしっかり確認しましょう。「回数に縛りなし」「初回のみで解約可能」と記載してある場合でも、解約料を求められるケースや、電話での解約しか認めないとしておきながら電話がなかなか繋がらないケースなど、解約が難しいといったケースが多数あります。

ワンクリック請求には、連絡せず、支払い請求にも絶対に応じない

事例

Cさんは、夜中にスマートフォンを使っていたところ、急にアダルトサイトに登録され、約30万円の請求画面が表示されてしまった。「誤動作の人はここに」というボタンをタップするとサポートセンターの電話番号が表示された。

  • 1
  • 消費者に会員登録や契約をしたと思わせて高額な料金を請求する「ワンクリック請求」と呼ばれる手口です。クリックすることでアダルトサイトへの登録となることが消費者にはっきりとわかるように書かれていたわけではないので、契約は成立しているとは言えず、支払い義務も生じません。
  • 2
  • サイト事業者へ連絡すると、自分から連絡先を教える結果になります。その後の執拗な請求につながることになりますので、絶対に連絡しないでください。

「チケット不正転売禁止法」を理解する

事例

Dさんは、スマートフォンに表示された「チケット譲ります」からチケットを購入し、指定された銀行口座に振り込みをしたが、送られてきたのは、欲しかったチケットとは別のチケットであった。

  • 1
  • 「チケット不正転売禁止法」では、チケットを不正転売すること、チケットの不正転売を目的として、チケットを譲り受けることが禁止されています。
  • 2
  • チケットの転売が規約により禁止されている場合があり、転売されたチケットでは会場に入れないことがあります。興行主によるチケットの利用条件をよく確認しましょう。正規(公式)のリセールサイトがある場合もあります。

成年年齢(18歳)以降の事例

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サブスクリプション・サービスを巡るトラブル

事例

Aさんは、月額料金固定制でハンドバッグ・小物をレンタルで利用し放題の有料会員登録をした。最初のうちは時々利用したが、最近は利用しなくなったので解約しようと思った。しかし、ID・パスワードを忘れたためマイアカウントに入れず、解約手続きができない。

  • 1
  • サブスクリプション・サービスとは、音楽や動画などの配信サービスやバッグ・洋服などのレンタルサービスを、毎月一定の料金で一定の種類の商品・サービスの中から、自由に選んで好きなだけ利用できる、という継続的な契約です。
  • 2
  • 消費者にとっては、毎月一定額で音楽や動画などを自由に選べるので、頻繁に利用する人には便利で割安となるメリットがあります。他方、あまり利用しない人には割高となり、実際に利用していなくても解約手続きをしない限り、自動継続で料金が発生するデメリットがあります。
  • 3
  • 事業者は、顧客を継続的に確保できる効果があるので、無料サービス期間を設定するなどしてまず契約者を集めたうえで、できるだけ有料会員としてつなぎとめることを目指します。消費者が利用できるコンテンツの豊富さに魅力を感じて有料会員として継続するのであればよいのですが、無料お試しという強調ばかりで自動的に有料契約になることを明確に表示していなかったり、解約手続きが複雑で分かりにくい設定であったりすると、不本意な形で負担が続き、トラブルとなります。
  • 4
  • サブスクのトラブルを防ぐには、こうした契約の仕組みとトラブルの特徴を理解したうえで、慎重に契約することです。

第1に、そのコンテンツや商品を将来にわたって継続的かつ頻繁に利用するのかどうかを冷静に考えてみることです。無料トライアルという広告に惹かれて、ちょっと試してみようという気楽な気持ちで契約すると、トラブルになりがちです。
第2に、サブスクは契約者を手放さないために解約手続きが複雑に設定されているケースが少なくないことを理解しておき、無料お試しの契約をする前に確実な解約方法を確認しておくことです。
第3に、解約手続きは自分でマイアカウントにアクセスして解約申出をしなければならない仕組みが多いので、契約時に付与されたID・パスワードをきちんと保管しておくことです。
第4に、個人で交渉しても事業者がきちんと対応してくれない場合は、早めに消費生活センターに相談して事業者への申入れの方法を助言してもらうことも重要です。

フリーマーケットサービスを巡るトラブル

事例

Bさんは、インターネット上のフリーマーケットサイトで、有名ブランドバッグが割安な価格で出品されていたので購入した。届いた商品をよく見るとブランドロゴマークが少し変形しており偽ブランド品だと思った。出品者にメールで連絡したところ、「本物だ」と言い張られた。フリマアプリの運営業者に相談したが、「当事者で話し合ってください」と言われた。

  • 1
  • フリマアプリは、インターネット上で個人同士がフリーマーケットのように商品等の売買ができるアプリです。スマホ一つですぐに売買ができ、持っていても使わないものを有効に利用できる便利なツールですが、トラブルが発生することもあります。フリマアプリを提供するサービスの仕組みを理解し、利用規定やマナーを守って上手に活用しましょう。
  • 2
  • フリマアプリの運営事業者は、商品の出品者と購入者に取引の場を提供していますが、それを利用した売買は個人間取引にあたります。トラブルが発生した場合、多くの利用規約では当事者間でその解決を図ることが求められています。
  • 3
  • 大手の運営事業者は、出品者と購入者の間に入って一旦代金を預かり、購入者が商品を受け取ったことが確認されてから、出品者に商品代金が支払われるという決済の仕組みを導入しています。これを「エクスローサービス」と言います。購入者が商品を受け取ったことの確認は、スマホアプリ上で購入者が出品者の評価を行い、商品受け取りの通知をするというやり方が一般的です。

引っ越しの契約には注意を

事例

Cさんは、インターネット検索で見つけた事業者に電話で引越しを申し込んだ。引越料金は約4万円だが、電気とガス、Wi-Fiをセットで契約すると2万5千円になり、さらにこれらを半年間継続するとキャッシュバックもあると言われたのでセットでの契約をした。その後、電気、ガスの事業者から連絡があり、半年後に解約すると違約金がかかると言われた。契約時に違約金の説明がなく、不満だ。

  • 1
  • 引越サービスを利用する際は事業者とよく打合せをしましょう

引越希望日や作業内容などを引越事業者に伝えると、事業者から見積書が発行されます。その際、自分が事業者に依頼したい作業内容などをはっきり伝え、しっかり打合せすることが必要です。お互いの意思や要望が上手く伝わらないと、引越当日に予定した時間にトラックが来ない、支払い時に追加料金が発生するなどのトラブルになることが多いので注意しましょう。

  • 2
  • 見積書をよく確認してみましょう

国の標準引越運送約款には、作業内容や料金の内訳など引越事業者が見積書に記載しなければならない項目が定められています。見積書や契約書に段ボール代金について記載されていれば、解約する時には代金を支払う必要があります。引越しを依頼する時は見積りを取り、何の経費が含まれているか、引越準備及び当日にどのような作業を頼めるのか、いらない作業が計上されていないか等しっかり確認しましょう。

  • 3
  • オプション契約は本当に必要かよく考えて契約しましょう

最近では引越しプランに電気やガス、通信などの様々なオプション契約をつけることを条件に、引越料金を割り引きするプランが出てきており、事業者から勧められることがあります。オプション契約の期間などの条件を確認し、本当に必要かどうかよく考えてから契約するようにしましょう。引越費用は安く抑えられるかもしれませんが、オプション契約の解約時に高額な違約金を請求されるなどトラブルになる可能性があるので注意が必要です。

  • 4
  • おかしいなと思ったらすぐに相談を!オプション契約は本当に必要かよく考えて契約しましょう

契約書や見積書に記載されていない費用を請求されたり、高額な解約手数料などを請求されたなど、おかしいなと思った時は、最寄りの消費生活センターにご相談ください。

脱毛エステトラブル

事例

Dさんは、無料動画サイトで脱毛のお試し980円という広告を見て、エステ店に出向いた。施術後に担当者から継続して通うことを勧められ、今日契約すれば割引になると言われた。2年間通い放題で24万円。月に2回通うのが目安と言われたので48回通えるのだと思い、クレジット契約をした。2回施術を受けたところで、毎月の支払いが大変だと感じた。解約しようと思い契約書を見てみると、2年間通い放題とあるものの、1回4万円、6回施術契約と書いてあり驚いてしまった。

  • 1
  • 契約内容をよく確認し、よく理解して、慎重に契約しましょう

脱毛や痩身などのエステティックの施術は、自分に合うものかどうかまずは試してみたいと思う人が多いようです。そんな時に、安価な「お試し体験」という広告は魅力的に映ります。
相談の中には、お試し体験施術後に継続して施術することを勧められ、「今日契約すれば割引」「通い放題」と言った言葉に惹かれて、金額や回数をよく考えずに契約してしまったという人が多くみられます。中には、「通い放題」「○○回施術が受けられる」と言われて契約したのに、たとえば30回と言われたのに契約書には「6回分が有料で24回分がサービス」といったように、説明とは違う内容で契約書に記載されている場合もあります。契約するときは、自分が受けられる施術の内容や回数、契約期間、解約条件について契約書及び店の人に確認し、よく理解してから慎重に契約しましょう。

  • 2
  • 美容等の施術は、契約内容だけでなく、施術結果(効果)についてのトラブルにも注意が必要です。

広告の写真やシミュレーションを見て、美しくなれる、悩みを解決できると思っても、自分の思ったとおりになるとは限りません。施術の内容や個人の体質などによって、効果が感じられなかったり、自分の期待と異なる結果になることもあります。美容等の契約代金は、施術サービスへの対価です。「効果が感じられない」「仕上がりに不満」といった相談も消費生活センターにも寄せられていますが、解約はできても返金が難しいケースが多くなっています。十分な説明を受け、よく考え、納得したうえで契約しましょう。

  • 3
  • 困ったときは、消費生活センターに相談を!

契約内容に疑問が生じたときや事業者の対応に不審な点がある場合には、最寄りの消費生活センターにご相談ください。

アルバイト応募が、いつの間にか契約へ

事例

Eさんは、求人サイトでナレーションのアルバイトに応募し、WEB会議システムで面接を受けた。ボイスサンプルの収録が必要だと言われスタジオに行くと、ドラマCDのオーディションを勧められ、翌日合格を告げられた。契約するからと呼び出されたが、実際には出演等の契約ではなく、レッスン契約が必要で約8万円支払うよう、その時に初めて言われた。アルバイトに申し込んだのに、レッスン契約を勧められ、また、レッスンの内容もわからず不審な点が多い。解約したい。

  • 1
  • 仕事の面接に行っただけなのに、高額な契約を勧められたという相談が寄せられています。

スマートフォン等の求人サイトやアプリで見つけた仕事に応募したら、アルバイトではなく、面接会場で高額な契約の勧誘を受けてしまったという相談が都内の消費生活センターに寄せられています。
相談(求人)の種類を大きく分けると

  • 在宅ワークやデータ入力の仕事の募集があったので応募したら、アフィリエイト広告の仕事の説明をされ、儲けるために数十万円のコンサルティング契約を勧誘するケース
  • エキストラや声優の仕事の募集に応募したら、オーディションなどの勧誘を受け、合格を告げられるも「デビューのためにはレッスンが必要」として数万から数十万円のレッスン契約を勧誘されるケース

の2パターンが多く寄せられています。どちらも、他の求人広告と変わりないため、広告を見ただけでは怪しいかどうか見極めるのは困難です。

  • 2
  • 高額な契約を勧誘されたら、その場で契約せず、いったん帰りましょう。

アルバイトの面接に行ったのに逆に別の契約を勧められた場合は、その場で判断せずに、いったん冷静に検討するために家に帰るなど、その場を離れましょう。コンサルティングやレッスンを受けることで、仕事が増え稼げるようになると言われても、その後、仕事がもらえず稼げない場合でも、契約した支払いだけは残ります。数十万円の契約をしてお金が払えるのかどうかを、自身で考えなければなりません。その場の雰囲気で契約をせずに、きっぱり断って、その場を離れましょう。

  • 3
  • 困ったときは、消費生活センターに相談を!

契約内容などによっては、クーリング・オフができる場合もあります。また、契約内容に疑問が生じたときや事業者の対応に不審な点がある場合には、できるだけ早く最寄りの消費生活センターにご相談ください。

モデル・タレントのオーデション

事例

自撮り写真をアップしていたFさんのSNSに、芸能事務所から新人モデルのオーデション案内が送られてきた。興味をもったMさんが、オーデションに申し込むと第一次審査に合格。後日呼び出された最終オーデションにも合格。これでモデルの仲間入りと思っていたところ、芸能事務所の社長から「磨けば磨くほど光る素材だ」とおだてられ、その場でレッスン契約をしてしまう。ところが、レッスンは期待していたような内容ではなく、契約を後悔したMさんは、解約したと申し出るが、解約料がかかるといわれた。

  • 1
  • 信頼できる相手か調べよう

事例では、SNSに送られてきた見知らぬ芸能事務所からのコメントに、何の警戒心も持たず、安易に連絡を取ったことからトラブルに巻き込まれます。SNSを悪用する事業者もいるので、見知らぬ相手とは安易に連絡を取らないこと、信頼できる相手かよく考えることが大切です。

  • 2
  • あれっと思ったらきっぱり断ろう

事例では、オーディション合格後に、初めてレッスン受講契約が必要なことを知らされますが、事業者の言葉にのせられ、その場で契約して代金も支払ってしまいます。不意打ちで契約の勧誘をされた場合には、「契約しません」とはっきり断り帰る勇気が必要です。

  • 3
  • 一人で抱えず、誰かに話そう

事例では、事業者に「内緒でデビューした方が良い」と言われたため、誰にも相談しません。気が付けば、クーリング・オフの期間が過ぎてしまいます。誰かに相談することで「気付き」が生まれ、トラブル解決につながることがあります。

契約は慎重にすることが重要

「後でクーリング・オフすればいいから契約しちゃえ」という考え方は大変危険です。クーリング・オフができるのは、特別な法律で定められた取引だけですし、たとえクーリング・オフをしても、すべての事業者が全額を返還してくるとは限りません。悪質事業者の場合は、短期間で会社を解散したり、行方不明になったりすることがあります。こうなると法的には消費者が支払い済みの金銭を返してもらう権利があったとしても、回収することは困難です。だからこそ、契約は慎重にすることが重要です。

マルチ商法

事例

Gさんは、SNSで知り合った人から、「アフィリエイト広告で副収入を得る方法を指導してくれる会に参加してみないか。アフィリエイターをたくさん募集しているので、他に人を紹介すれば報酬をもらえる」と誘われ、20万円を支払って入会した。ごく簡単な指導だけで、サポートもほとんどない。友人を誘うと迷惑をかけそうでできない。

事例

Dさんは、中学時代の友人から食事をしようと連絡がありファミレスで会うと、「暗号資産の取引で確実にもうかる説明会があるので一緒に聞いてみよう」と誘われた。事業者から「暗号資産の投資をグループで勉強して確実にもうかるようにサポートする。仲間を誘って会員を増やすとボーナスもでる」と説明され、友人から「一緒に頑張ってみよう」と熱心に勧められたので断り切れず、消費者金融で借金をして入会した。他の友人に声をかけたところ、それはマルチ商法じゃないかと言われて拒否された。

  • 1
  • マルチ商法とは、商品やサービスを購入して会員となり、ほかの人を誘って入会させると、売り上げに応じて報酬が得られるという販売システムです。購入者が勧誘員となって次々と会員を拡大しながら販売する仕組みであり、法律上は連鎖販売取引と呼ばれています。

従来は、化粧品や日用品などの物品の販売が中心でしたが、最近は、投資取引の会員や副業ビジネスの会員など儲け話に関する契約をマルチ商法の手法で勧誘する「モノなしマルチ」も増えています。契約対象の取引で儲かるという話と勧誘活動によって儲かるという二重の儲け話で、取引の仕組みもよく分からずに契約してトラブルになるケースも少なくありません。高額の代金を支払って入会すると、その損失を挽回するためにほかの人を勧誘することになり、今度は自分が加害者になりかねません。
マルチ商法は、会員を増やせば大きく儲かるという話に惑わされて不要な商品やサービスを高額な代金で契約してしまうトラブルが多発しているため、法律によって、広告表示の仕方や勧誘の仕方や契約時に交付する契約書面の記載内容などを厳しく規制しています。また、20日間のクーリング・オフ、その後の中途解約返品制度など、消費者保護の規定もあります。しかし、全国の消費生活センターに寄せられるマルチ商法の苦情相談は、毎年1万件を超えています

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  • マルチ商法のトラブルを防ぐには、取引の特徴やリスクや法律による規制内容を理解したうえで、契約するかどうかをよほど慎重に判断すべきです。

第1に、マルチ商法の取引方法は、多数の会員を入会させて組織の上位になれば大きく儲かる可能性がありそうに見えますが、大半の会員は儲からない仕組みです。自分が勧誘した会員の損失によって儲けの財源を確保することであり、人間関係を壊すおそれが高いことを十分に自覚して慎重に判断すべきです。
第2に、マルチ商法によって商品・サービスを販売する目的であることを、事前に告げないで説明をしたり説明会に誘う行為は、それ自体違法な勧誘方法です。一部の成功例を取り上げて少し頑張れば誰でも容易に儲かるかのような勧誘方法や、儲けの仕組みを正確に書かないで儲け話を記載した広告表示も違法とされています。違法な勧誘方法や広告表示を用いるマルチ商法は絶対に契約しないことです。何よりも、儲かるからと言われて借金をしてまで契約することは、絶対にダメです。

契約とは

1.契約とは

契約とは、法的な拘束力がある合意のことをいいます。「法的な拘束力がある」ということの意味は、もし、その合意を守らなければ、裁判所の判決をもらって強制的に(つまり、国家の力を使って合法的に)その合意を実現すること(強制執行)ができたり、損害賠償を取ることができたりする、ということです。
例えば、賃貸借契約を締結すれば、貸主は目的物を貸す義務を負いますし、借主は賃料を支払う義務を負います。もし、借主が合意を守らずに賃料を支払わなければ、貸主は裁判所の判決をもらって、強制的に未払賃料を回収することができますし、場合によっては、賃貸借契約を解除して、裁判所の判決をもらって強制的に退去させることもできます。このように契約には法的な拘束力がありますから、契約を締結する場合には、十分に、その内容を理解しておく必要があるということになります。

2.契約の方法

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(これを「申込み」といいます。)に対して、相手方が承諾したときに成立します。つまり、「申込み」と「承諾」があれば、契約は成立することになります。法律に特別の定めがない限り、契約は口頭で合意するだけでも成立します。「契約書」という書面がなくても、契約は成立します。コンビニエンス・ストアで買い物をするときには、契約書を作りませんが、売買契約は成立しています。したがって、「契約書を作成していないから契約は成立していない」などと安心することはできません。

3.契約書作成の意味

もっとも、複雑な内容の契約を当事者がすべてしっかりと覚えておくことは困難です。そこで、契約内容で紛争が生じないように、また、紛争が生じた場合に契約内容を確認することができるように、契約内容を書面に記載した契約書を作成します。契約書を作成すれば、契約内容が明確になる反面、後になってから「こんな契約内容は知らなかった」とはいえなくなります。したがって、安易に契約書にサインせず、契約内容を十分理解したうえでサインをしなければなりません。

4.無効な契約

ただ、契約の内容によっては、契約が無効になることもあります。例えば、賭博等犯罪を内容とする契約や暴利的な内容の契約、正義の観念に反する内容の契約等は、公序良俗に反する事項を内容とするものであるので、無効となります。(民法90条)

契約を取り消す

賃貸借契約の注意点

進学や就職の際に、建物(部屋)を借りて、生活する人もいると思います。建物賃貸借契約に関する知識は、今後に役立つことになります。

1.賃貸借契約

建物の賃貸借契約は、買い物をすることとは異なり、日常行うものではありません。したがって、多くの人にとって契約内容が容易に理解できるとは限りません。しかし、ひとたび契約をすれば、契約の当事者は契約に拘束されることになります。それゆえ、契約内容については、十分に理解して契約を締結する必要があります。通常の建物賃貸借契約では、不動産業者(宅地建物取引業者)の仲介によって契約します。この場合、賃貸借契約を締結するにあたっての重要な事項については、宅地建物取引士が書面を交付して説明しなければならないことになっています。この重要事項をきちんと受け、疑問点は質問して、後になってから「こんなはずではなかった」ということが発生しないようにする必要があります。

2.原状回復義務について

賃貸借していた建物からの退去時によくトラブルになるのが、借主がどの程度まで建物の修繕費用を負担しなければならないか、ということです。一般的な賃貸借契約書には、賃貸借契約終了時には、借主は物件を原状回復しなければならない旨が規定されていますので、原状回復義務の意味を知らないとうまく交渉できません。例えば、普通に生活していて、壁を傷つけたり汚したりしていないのに、退却時に貸主から「貸したときには新品の壁紙だったので、新品の壁紙に張り替える義務がある」と言われたらどうでしょうか?新品の壁紙に張り替えますか?「原状回復」とは、通常摩耗や経年変化以外の損傷を元に戻すことをいいます。最高裁判所の判決です。したがって、壁紙が経年変化によって新品とはいえない状態になっていても、それを借主が修繕する(または修繕費用を負担する)必要はありません。しかし、壁紙をわざと傷つけた場合や、誤って傷つけた場合には、通常損耗や経年変化ではない損傷ですから、借主が修繕する必要があります。この原状回復に関する知識があるだけで、原状回復に関するトラブルでの交渉力に違いが出てきます。

3.ガイドライン

どのような傷が通常摩耗や経年変化にあたるのかは必ずしも明確ではありません。例えば、テレビや冷蔵庫の後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ)は通常損耗や経年変化でしょうか?台所の油汚れはどうでしょうか?このような疑問を解消するために、国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」、東京都は「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を作成しています。このガイドラインでは、場所や設備ごとにどのような傷が借主の通常の住まい方・使用で発生したとはいえないものかを示しています。ガイドラインを示すだけで、修繕費用をめぐるトラブルが解消することも少なくありません(ちなみに、ガイドラインによれば、テレビや冷蔵庫の電気ヤケは、通常損耗であり、台所の油汚れは手入れが不十分で会って通常損耗にならないとされています)。

4.特約には十分に注意

通常損耗や経年変化は、原状回復の対象ではないということは、その修繕費用を借主が負担する必要がないということです。しかし、賃貸借契約の中で、通常損耗や経年変化の修繕費用を借主が負担するという特別の約束をすることも認められています。このような特別な約束を「特約」といいます。このような特約には十分注意して契約することが必要です。ただし、本当にひどい特約(公序良俗に反する特約)であれば、無効となることもあるので、納得できない場合には、公的な機関等に相談できることを知っておくことも重要な知識です。

裁判外紛争解決手続きの仕組み

消費者トラブルにおいては、消費者と事業者では圧倒的に法的な知識や情報に格差がある。消費者が、トラブルに際して、事業者と直接交渉をしても解決しなかったり、費用の問題から裁判などを起こすこともできず、中立的な専門家に仲立ちをして解決につなげたいと考えた場合に活用できる仕組みとして「裁判外紛争解決手続」があります。東京都では、消費生活総合センター等の相談機関に寄せられた苦情・相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について「あっせん」や「調停」を行い、その解決にあたる、「東京都消費者被害救済委員会」が「東京都消費生活条例」で設置されています。

紛争処理の実績が東京くらしWEBのサイトにもアップロードされていますので、紹介します。

この報告書の内容を読んで、次の項目について調べてみましょう。

  • 「裁判外紛争解決」の仕組み
  • 「あっせん」、「調停」とは、何か?
  • 報告書を読みこなしてみよう